-なんとかならなかったのかな?-
ジャケットはDTPデザイナーの手によるものなのだろうか・・・。3人の背景との境界線をぼかして、よくわからない背景と合成する。裏ジャケットにいたっては、(わざとなのだろうが)ぼかして顔もわからず・・・。う~ん、このセンスはよくわからない。それとも、存分にインディ感を漂わせて「これはアタリなのかもしれない!」と、インディ・ソウル・ディガーの期待をあおっているのだろうか。いずれにしても90年代のインディ・ソウルにありがちなジャケット・ワークである。筆者もまたここに期待してしまうヒトリなのだが・・・。
-すぐに回答が-
その期待への回答は①「Body Satisfied」のイントロでいきなり提出される。タイトルにも“Body”を使っているところも含めてR.ケリー(R.Kelly)ではないか!闇にかかった湿度感たっぷりの音に”Body”を連呼。ケルズ氏ほどの熱苦しさはないものの、やりすぎないセクシー感が楽しめる。
続く②「Back Seat」も①との組曲なのかと思うくらい同様の路線。詞にも“Satisfaction”が登場してくるところも狙いなのではないだろうか。
また⑤「Wink Your Eye」は、R.ケリーがパブリック・アナウンスメント(Public Announcement)とやっていた頃を彷彿とさせてくれるミディアム。音の作りが「Honey Love」を思い出させてくれる。
⑥「Lights Down Low(featuring Batchlor) 」もタイトルに“Down Low“の文字が躍る。ダウン・ロウというよりもナスティなスロウといった趣きであるが、最後のほうのファルセットのコーラスは、ロナルド・アイズレー(Ronald Isley)が見え隠れ。この時点で確信犯であることは間違いないだろう。
-時代がいろいろと移りゆくのだが-
R氏を徹底しているのかと思いきや、それ以外も展開。③「Ain't No Shame Ina」は時流のチキチキ、⑨「Shawdy(featuring Batchlor)」[*1]ではラガ・ラップも披露したり、⑪「Money」では初期のニュージャックのような音作りになっていたりと、よく言えばバラエティが豊富である。しかし、どちらも正直いまひとつ。コーラスワークに力があるわけではないトリオなので、楽曲が際立たないと難しいのかなという印象をもってしまう。
-徹底しても良かったのでは-
⑬「Lights Down Low (Freak Mix)」は、⑥のインストゥルメンタルを背景に、女性のウィスパーヴォイスを展開。最後にはあえぎ声を収録。かなりエロ度は高い。ここまでやるのだったら、もっともっと“12Play”に寄せた1枚にしても良かったのではないだろうか。[*2]
(2021.01.31)
[*1]タイトルからR.ケリーの「Sadie」を連想させられたので、それ系の正統派バラードかと思ったのだが全く違うものだった。
[*2]このアルバムの世界観を作ったのは、おそらくシーケンサーを担当した、アンソニー・ショッケンシー(Anthony Shockency)ではないだろうか。アンソニーは、ミリー・ジャクソンのアルバム『Young Man,Older Man』(1991)に、タイトル曲など2曲でシーケンサーとして名前を確認できる。が、詳細不明。どなたか教えてください!