グループを振り返るというと、リーダー:フランキー・ビヴァリー(Frankie Beverly)の歴史を見ていくことと同様といっても過言ではないだろう。
フランキー・ビヴァリーは1946年12月、フィラデルフィアで生まれる。本名:ハワード・ビヴァリー(Howard Beverly)
。ドゥーワップのグループに入った頃からフランキーと名乗りだしたようだ。それからシルエッターズ(Silhouetters)、ブレンダーズ(Blenders)といったグループに所属した後、17歳でノーザンソウルグループといえるバトラーズ(Butlers)を立ち上げる。そしてフィリーの雄、ギャンブル&ハフ(Kenneth Gamble & Leon A.Huff)のギャンブル・レコーズと契約。グループは、ロウソウル(Rawsoul)と改名することになる。
1971年、グループの活動拠点をサンフランシスコへ移し、オークランドなどで活動。その後、マーヴィン・ゲイ(Marvin Gaye)の前座を勤めるまでに出世。1976年(マーヴィンの名盤『I Want You』が発売された年)、マーヴィンのアドバイスもあり、グループはまたまた改名。メイズ(Maze featuring Frankie Beverly)の誕生である。
1977年『Maze』は、デビュー作でありながら、ゴールドディスクに。作品力を保ちながら、またメンバーチェンジを繰り返しながら80年代を駆け抜ける。その結果、出す作品がすべてゴールド・レコードになるほどの人気を得た。
その人気ぶりは特にライヴにみられた。フランキーが生音を大切にしていることが如実に伝わるのであろう。これを体感するには、DVD化された『Live In Los Angeles』が一番だろう。彼らに引き寄せられることといったら…。映像をあまり引っ張り出さない筆者が、幾度見たことだろうか。あの白一色の衣装の虜になってしまう。「Joy And Pain」での大合唱が焼き付いて離れない。
キャピタルレコードとの契約終了後はワーナーへ移籍。マーヴィンの「What's Going On」にインスパイアされた名曲「Silky Soul」を含んだ同名のアルバムは大ヒット。スタイルを変えずに我が道を行く。まさにブラック・ミュージック界の良心といえるだろう。
2009年には遅すぎるトリビュートがリリース。また、フランキー自身もニューアルバムについての予定を語ってくれていることから、アップデートされた音に出会える日を(本当に発売されることを期待せずに)待ちたい。たまらなく楽しみである。
(2005.11.10/2010.2.11)