-ありがちな話ではあるのだが…-
この時期(1995)はアルバム1枚で消えていく実力派グループが多かったわけだが、このソウルトリィ(Soultry)もご他聞に漏れず…。このころに今ほどのインディ・ソウルの販売経路が整っていれば、インディから良作を届けてくれたのではないかと考えてしまう。
-ヒップホップ寄りのプロデューサーを起用-
さてさて中身である。プロデューサー3名の力が大きく影響している。
まずはクインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)の息子:QDⅢ(Quincy D.Jones Ⅲ)。②「I'll Get Mine」や⑦「Cash Money」、⑧「Relax Your Mind」など、ヒップホップサイドを担当し、この作品にトンガリを注入している。
それから、メアリー・J.ブライジ(Mary J.Blige)などを手がけたプリンス・マーキー・ディー(Prince Markie Dee)とコリー・ルーニー(Mark Cory Rooney)。名前だけ聴くと、ヒップホップよりと想像してしまうが、ここではしっかりR&Bに寄せてくれている。ミディアムの③「What I Want」での爽やかさ、まるでR.ケリー(R.Kelly)やキース・スウェット(Keith Sweat)のような④「Sex In The Rain」のエロ具合という二面性をみせてくれたのはありがたい。ソウルトリィのボーカル力量を活かした曲とはいえないかもしれないが、特に④のようなエロ路線を歌わせても問題ないところを証明してくれた(筆者には重要なポイントです)。
-ミント・コンディションとのケミストリー-
そして、一番力量を発揮してくれたのが、ミント・コンディション(Mint Condition)である。3曲提供してるのだが、これがどれもミント印の名スロウ。そのなかでもコレぞの1曲は⑤「Where Do Broken Hearts Belong」。ソウルトリィのボーカル力とミントのプロデュース力が見事に融合された、95年を代表する名曲と言っても過言ではない。その雰囲気を保ちつつの⑥「I Knew All Along」のリラックスムードも心地良い。ベイビーフェイス(Babyface)的懐古感覚が楽しめる。内気な男の子の恋愛を歌った⑨「Can I Get To Know You」は詩の内容と切ないメロディがピタリとハマる。いずれにしてもミント+ソウルトリィの融合はお見事である。
-希少価値にならないように-
結局あまり話題にはならなかったこの4人組。歌えるという点ではソロ(Solo)と互角に張り合えるくらいの実力はあったと思う。希少価値にならない程度に流通していた(日本盤も発売されている)ことが幸いである。
(2007.08.08)