1. 『Whispers In The Dark』
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『Whispers In The Dark』(1999)1999
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Review

-タイミング-

タイミングというものは、その後の方向性に大きな影響を与える。プロファイル(Profyle)のデビューには、キダー・マッセンバーグ(Keder Massenburg)のモータウン(Motown)社長就任という大きな出来事が関わった。“モータウンのグループ”というだけで重責を与えられてしまった感があるのだが、その分キダーは力を入れた。それが証明されるのは、このデビュー作にジョー(Joe Thomas)を参加させたことだろう。「All The Things(Your Man Won't Do)」の大ヒットによって一躍シーンへ躍り出たジョー。この作品のタイミングは、その次のジョー自身アルバム『My Name Is Joe』の制作期間と重なるのだが、4曲もプロデュースとして参加。この辺りは“ジョー=キダー”のパイプの太さから成せる業なのではないだろうか。

-ジョーの力量がはっきりと-

その4曲こそが、このアルバムの色を決めた。それくらい影響力がある。つまり出色の出来ということである。まずはギターの使い方がまさしくジョーといえる③「Jiggy Girl」。サビのコーラス、“jiggy jiggy jiggy…”と繰り返す部分もしつこく聴こえることもなく、切なく響く。さらに切なくささやくのは⑤「Whispers In The Dark」。これこそ「All The Things(Your Man Won't Do)」の世界観。こちらも好きでたまらない女性を夢見て語りかけるという、詞の方向性まで似ている。

情熱的なのは⑪「Kick It Tonight」ジェラルド・リヴァート(GeraldLevert)のようなバリトン・ヴォイスが轟く。このエモーショナルな歌声は、ジャギド・エッジ(Jagged Edge)と似て非なるところだろう(それがジャギド・エッジがチャートで健闘できた理由なのかもしれないが…)。さらにチコ・デバージ(Chico DeBarge)も参加したクリスマス・ソングである⑬「Make Sure You're Home」は、ささやくように優しく歌っている。必死に力を抑え気味に掛け合うところにソウルを感じることができるスロウに仕上がっている。まさに、ロマンティック。

-その他の作家陣-

ではジョー以外の作家陣はどうだろう。テディ・ビショップ(Teddy Bishop)ジョンティ・オースティン(Johnta Austin)がアップ系の楽曲を数曲提供しているが、正直そんなに得意ではない。時流の音よりも、彼らには古き良き歌のほうが似合うからではないだろうか。

そういった理由からなのか、ソウルショック&カーリーン(Soulshock & Karlin=Carsten Schack and Kenneth Karlin)⑥「I Won't Cry」、デビュー前からの付き合いとなるサンドラ・セイント・ヴィクター(Sandra St.Victor)のペンによる⑫「Lady」の2曲が印象に残った。プロファイルの歌声が、ハツラツとしているような気がする。こういったメロディの分かりやすいものこそ、彼らの実力が楽しめるのかもしれない。筆者は暑苦しいのものほうが大歓迎なのであるが…。

(2011.10.02)

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