1. 『We Can Do Whatever』
  2. OTIS & SHUGG
  3. artist
  4. privatesoulmusic
『We Can Do Whatever』(2005)2005
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Review

-お蔵入り予定だった-

レーベルが親レコード会社ともめる=レーベルの契約が切られる=完成していた作品がお蔵入り。こんなことはアメリカでは良くあることだ。おそらくは、今も名作と言われるべき世に出ていないアルバムがゴロゴロしてると思われる(最近はCDBABYのおかげで、インディ・ソウルも手に入りやすくなっているため、状況は随分と変化しているのではあるが…)。 

この作品もその事例にピッタリと当てはまったものであった。96年“プーキー(Pookie)”から発売決定→お蔵入り。しかしながら、当時イギリスで①「Journey」がヒットしていたこと、また兄:オーティス・クーパー(Otis Cooper)のソロ・アルバムが成功したこともあり、英国のレーベルエクスパンション(Expansion)からリリース。これはありがたいことだ。

-当時のトニーズ3人は-

プロデュースはラファエル・サディーク(Raphael Saadiq)トニーズ(Tony Toni Toné)の3rd『Sons Of Soul』と、4th『House Of Music』の間にあたる期間に制作されている。当時のトニーズは、ドゥウェイン(D’wayne Wiggins)ブルー(Blue)ティモシー(Timothy Christian Riley)アートゥン・ソウル(Art N Soul)とそれぞれが別作品を手がけていた。もしこのオーティス&シュグ(Otis & Shugg)がリリースされていたら、名作3部作として話題をさらったに違いない。3作品とも、甲乙つけがたい素晴らしい出来。さすがソウルの申し子たちである。

-計算された音作り-

ジャケットはシングル盤で使用したものの拡大という、なんともチープな作りだが、中身で勝負。全編生音に重点を置き、ミディアム~スロウばかりの濃い作りだ。

その中でも印象的なのは④「My First Mistake」。チープなイントロ音が、逆に本編の甘さを際立たせているというミディアム。サビに入ると、デュオらしい掛け合いが聴けてニンマリさせられる。そして名バラードと呼びたい⑫「This Is My Phone Call」⑯「Goodbye (alt phone)」。イントロの語り方、途中に入る電話のコール。すべて計算された作りだ。ひたすら甘くせめられる。

その他もキキドコロ満載で、左記のお気に入りイエロー表示をどの曲にするのかを大いに悩ませてくれた。それくらい完成された作品である。

-デュオで聴きたい-

オーティスのソロはもちろん良かったわけだが、やはりシュグに復帰して欲しい。兄弟デュオの相性よさは、ケイシー&ジョジョ(K-ci&Jojo)(あの2人は別格かもしれないが…。)が証明してくれている。2人の掛け合いをもう一度蘇らせて欲しいものだ。

(2006.01.13)

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