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『Str-8 From Da' Boot』(1995)1995
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Review

-音楽のつくり方-

プロデューサーを起用して音楽をつくる。ブラック・ミュージックに限らず、音楽シーンにおいては定説となった。マイケル(Michael Jackson)にはクインシー(Quincy Jones)が、ジャネット(Janet Jackson)にはジャム&ルイス(Jimmy Jam & Terry Lewis)が居たように…。では、名のあるのプロデューサーが良作の条件なのか!?ルイジアナ出身の4人組はその疑問に挑戦している。

-「マネ」では終わらせない-

プロデュースは、ほぼ全編彼ら自身とエマニュエル・M・ブリューレ(Emanuel M.Brule)。ほぼマニュファクチュア生産といえる。その中からシングルに選ばれたのはスロウの⑤「69B (Alize & Me)」である。

スロウが第1弾シングルに選ばれるということから、歌に自信があるからなのだろうと推察するが、それだけが理由ではない。これはR.ケリー(R.Kelly)マナー(詞も含めて)を周到したつくりになっており、95年という背景を踏まえた時に大きく頷くことができる。ピアノ・バージョンのも収録されており、こちらのほうはマックスウェル(Maxwell)前夜といった、大人の夜の雰囲気である。(個人的にはもっとピアノを引き倒して、狂おしいくらいでも良かったのかなとも考えてしまう…が、よりも好きなアレンジ。)同様の世界観は⑦「In The Mix」でも感じ取ることが出来る。

-ここが真骨頂-

上記のシングルや、スコッティ・ブラザーズ(Scotti Bros)の先行コンピレーションに収録されていた⑭「Relaxx」を聴くと、キキドコロはスロウであることに気付かされる。このは、インタールード風の出だしを挿入し、よりドラマティックに見せている。サビの“Relaxx…”の部分では、音楽に包まれている雰囲気にホッとさせられる絶妙なエロさが心地良い。また、ギリギリのところで白くならない⑨「Giving Yourself Away」は、思わず「ニュー・エディション(New Edition)か!?」と言いたくなってしまう。

白いといえば、白人のケニー・ノーラン(Kenny Nolan)=[ダズ・バンド(Dazz Band)「Open Sesami」、フォース・M.D.s(Force M.D.s)「What's The Name Of The Song」などを手がけている]がプロデュースし、フランキー・ヴァリ(Frankie Valli)が歌いヒットした楽曲である⑮「My Eyes Adored You」をカヴァ。本家ケニー・ノーラン自身を担ぎ出し、これまたポップな楽曲をソウルにしてしまっている。このあたりを器用にこなすところが彼らの実力だろう。

「メリーさんのひつじ」(この童謡ってアメリカ産だったんですね。)のループが気になる⑪「So Good」も切ないのだが、どうしても羊が頭をよぎってしまい…。正直、残念でならない。

-バランスも良い-

スロウばかりを書いてしまったが、②「Not By Mistake」⑫「Somethin' Funky」などのミディアムからアップもバランスよく収録。これらも現在でも聴くことが充分可能であり、決して「無理やり入れた」感は無し。1枚通して楽しめることができる作品である。

(2012.06.06)

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