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『Free』(2004)2004
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Review

-マーケットにはマッチせず-

この作品からギターを練習し、習得したという。ジャケットにギターを抱えて写っても良かったのでは!?そう思ってしまうほどギターが主役になっている作品である。アルバムが完成した直後、いくつかのメジャーレーベルに作品を聴いてもらったようだが、やはり“ヒップホップではない男性のソロ”では、時流にマッチせず、なかなか契約に至らなかったようだ。逆に言えば、それだけマーケットを意識しない、ブレの無い作品となっているということだろう。

-声が似ている-

アーティストを諦めようかとまで考えたが、盟友ジョシュ・ボニグストックが励ましこの作品を作り出した。最初に出来上がったのが①「Heaven」という。ヒトコトでいえば、ジャジー。生音が渋い。その音にマイロンのナヨ声が乗る。どうしてもトニーズ(Tony Toni Toné)と重なるのは仕方が無いところだろう。「ラファエルと一度電話で話したことがあるんだけど、まるで自分と話しているみたい。」(『bmr』2004.8)と本人が語っているくらいだから、やはり似ている。そんな雰囲気が作品全体に染み渡っている。

-レイドバック感-

ニュー・クラシック・ソウル風な③「Song 4 You」④「Can't Deny」、アルバム・リリース前にヒドゥン・ビーチ(Hidden beach)のコンピ『Hidden Hits Vol.1』に収録された表題曲⑤「Free」と、リリースは96年じゃないのか?と疑いたくなるような曲が並ぶ。その中でも白眉は⑦「No Other Love」。生ギターが効果的に支配するものの、エレピなどほかの音もしっかり活かしている。少しだけ音をリズムの後ろにずらした感覚、このレイドバック感が気持ちいい。

また、ファンク好きな一面も覗かせている。②「Darkside」⑨「Butterfly」。ライト・ファンクとでも言うべき軽いものではあるのだが、はスライっぽくも聴こえる。70年代が好きなんだろうと想像させられる。そういった意味で完全にスティービー(Stevie Wonder)をやってしまった⑬「Brighter Day」はご愛嬌といったところ。

-不安な発言!?-

「ギターの弾き方を覚えたらロックンロールから受けてきた影響が表にでてくるようになった。次のアルバムではちょっとそういう方向にいくかもしれないな。」(『bmr』2004.8)という不安な言葉を残しているのが気になるが・・・。この作品後のライブ録音『Myron&The Works』を考えると、その心配は無い…のかな!?

(2010.08.09)

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