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『Montell Jordan』(2002)2002
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Review

-パーソナルな内容-

モンテルのイメージは!?との問いにどう答えるだろうか。「This Is How We Do It」のようなヒップホップをうまく消化したダンス・トラックと、デボラ・コックス(Deborah Cox)の「Nobody's Supposed To Be Here」のような名作スロウの甘美な世界、という二面性を持つといったトコロだろうか。セルフ・タイトルを付けたこの5thは、後者の要素が強く反映されている。このあとの作品(6th)リリース時に、「前作は一番パーソナルな作品で、自分の人生が詰まっている」と語っているとおり、詩はモンテルから過去の女性や奥様(マネージャー)へ向けられた、セクシーな内容(=ピロウ・トークのようなもの)が多い。

-シェップの名前がない-

プロダクションのほうは2ndからの流れのまま、自身の“Mo Swang Production”が手がけている。しかしながら、そこにアンソニー“シェップ”クロフォード(Anthony“Shep”Crawford)が参加していない。シェップといえば、前出の 名曲「Nobody's Supposed To Be Here」を共作し、力を貸し合ってきた人物。彼なしでどうなの!?と心配したが、大丈夫。楽曲の良さは、彼抜きでもまったく変わらない。

-ソフトな歌い方がフィット-

③「You're The Right One」でみせる、トニーズ(Tony Toni Toné)風な生ギターとのからみ、そのままつづく④「You Must Have Been」でみせる憂い。このような、ミディアムからスロウヘの移行の仕方がモンテルの真骨頂。デビュー当時から「歌えない」と言われているモンテルだが、ここではその“ソフト感”のほうがフィットする。

-ゲストとの融合-

ゲストに、当時レーベル・メイトであったケイス(Case)を迎えた⑨「Coulda Woulda Shoulda」が出色の出来。ケイスといえば、ジョー(Joe Thomas)とデュエットした「Faded Picture」を思い出すが、こちらもそれに負けず劣らずの秀作。浮気を後悔する男の歌だが、その哀愁がよく表現されていると思う。 また、⑬「The You In Me」のようなゴスペルをいれるところは、教会育ちならでは。フューチャーされたビショップ・エディ・ロング(Bishop Eddie Long)の語りの部分が、より説得力を増加させる。ただ、最後が“ぶつっ”っとカットアウトされており、多少残念である…。 

-デフ・ソウルの損失-

デフ・ソウルは、この作品を地味と判断したのだろう。全米での発売はなく、ワールド・ワイド盤のみのリリースとなった。売り上げにこだわるデフ・ソウルだから仕方がないのかも知れないが、モンテルの実績なら、このようなパーソナルなアルバムでも充分イケルと思うのだが…。当時は男性ヴォーカル冬の時代であったことは間違いないが、アーティストとしてはもちろん、ライターとしての彼を失ったことは、デフ・ソウルとして大きな損失ではなかっただろうか。

(2005.12.24)

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