1. 『Ghetto Love』
  2. MELVIN RILEY
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『Ghetto Love』(1994)1994
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Review

-ヒット曲のイメージを払拭-

レディ・フォー・ザ・ワールド(Ready For The World)のヴォーカリスト、メルヴィン(Melvin Riley)のソロデビュー作。「Oh, Sheila」の全米No.1ヒットもあり、どうしてもプリンス(Prince)のようなミネアポリス・サウンドを想像しがちであるが、この作品はグループが同曲のヒットの後、シングルカットしていったバラード群を、さらにアップ・デイトさせた内容に仕上がっている。

-妖艶-

特に前半の4曲目までのテーマは男女、メイク・ラヴである。R.ケリー(R.Kelly)ほどボトムは落としていないものの、聴き応え充分。シングル・カットされた②「Whose Is It?」は、歌い出しとヴォーカルにまとわりつくピアノの音色が印象的な名スロウである。メルヴィンの若干ナヨい声とよくなじんでいる。また、③「I'm All In」も女性の妖艶な声が聴こえてくる。完全にR指定。プロダクションからして、キース・スウェット(Keith Sweat)が歌っていそうなネットリ感満載となっている。続く④「Servin' It」まで、この濃厚な世界が続いていく。

-休息後も続く-

そんな雰囲気に少しブレイクを入れてくれるのが⑥「Goin' Thru A Thang」。ヒップホップ・オリエンテッドなアップである。この一息が、以降の曲の良さを際立たせている。一転して⑧「Love's Gonna Get Cha」⑨「Ghetto Love」はピアノが切ない2曲。前者は正統派バラード、後者はゲットーで育んだ愛を歌っているのだが、どこか淋しげな曲である。

⑩「Tabs On Ya」はまるごと1曲プロポーズ。アメリカの男性らしく、キミのためならなんだってしてあげるよ…的なミディアム。日本人じゃ書くとベタすぎて、逆に軽く聴こえてしまうような内容だ。

-冬にひっそりと-

1994年という、男性ヴォーカル冬の時代に、ひょっこり、ひっそり芽を出した…そんな雰囲気さえ漂う。全曲でメルヴィン自身が制作に関わっているところが、このヒトのチカラを感じるところである。

(2006.02.09)

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