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『Baby Makin' Music』(2006)2006
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Review

-トロける-

「まったりとした曲が好きだよね。」と、友人から言われることがある。確かにその通り。ダンスチューンも、もちろんスキだが、心が安らぐメロウな楽曲が大好物だ。そんな自分だから、このアルバムを一聴した時、「2006年のベストアルバムが決まってしまった!!」と叫んでしまった!タイトルの通り、トロトロとろけまくりの1枚となった。

-70'sアイズレーを彷彿させるオープニング-

前作『Body Kiss』は、正直、R.ケリー(R.Kelly)に胸焼けした感もあって、好きな作品ではあったものの、“アイズレーならば、もっと…”。そう思わされた作品であった。しかし、今回は様々なプロデューサー陣を配置。それは前々作『Eternal』よりも豊富である。まずオープニング①「You're My Star」で、ファンキーなミディアム・チューンを提供しているのはティム&ボブ(Tim Kelley & Bob Robinson)。ザラつき感を前面にだした、まさしく70年代のアイズレーを彷彿させてくれる。彼らは⑤「Pretty Woman」も手がけ、スロウ中心のアルバムに、“動”を感じさせてくれるチューンを担当している。

-R.ケリー、それから…-

当然参加のR.ケリーは②「Blast Off」 1曲のみ。これは80年代のアンジェラ・ウィンブッシュ(Angela Winbush)が手がけていた頃のテイストを盛り込んだスロウ。このカンジを再構築してくるあたり、R氏のアイズレー・フリークぶりが伺える。そしてメロウ職人のお3人、ゴードン・チェンバース(Gordon Chambers)エゼキエル・ルイス(Ezekiel Lewis)元キャラクターズ(The Characters)トロイ・テイラー(Troy Taylor)。期待通りのメロウネス、③「Just Came here To Chill」 ⑩「Heaven Hooked Us Up」⑪「You Help Me Write This Song」を提供。今回参加しているプロデューサー陣のなかでは、ロナルドの声と一番相性が良いように感じる。シングル化されたは、前出のに引き続き、懐かしいアイズレー・マナーが優しい。こんなスロウを先行シングルで出してくるあたりがファンにはたまらない。そして狂おしいほどのバラード。詞を読むと、キャンディ夫人(JSの片方)にあてているいように思えて仕方ない。最後の部分を語るように歌うロナルドの歌い方にも注目したい。きっといろいろな結婚式で使われたりするんだろう。それに続くも同様の内容。これは続けて聴くべき曲なんだと思う。いずれにしても優しい2曲である。

-旬のプロデューサー陣も名を連ねる-

ジャーメイン・デュプリ(Jermaine Dupri)ブライアン・マイケル・コックス(Brian Micheal Cox)が手を組んだのは④「Gotta Be With You」⑥「Forever Mackin'」の2曲。は、ダウン・ロウ・ビートに、アーニー(Ernie Isley)の泣きのギター炸裂のスロウ。R氏が絡んでいてもおかしくない(詞のなかにもMr.biggsが出てくるし)位の湿度である。またも同様の世界が楽しめる。ちなみにジャーメインは⑨「Beautiful」マニュエル・シール(Manuel Seal,Jr)と組んでプロデュースしている。そのマニュエル・シールは⑦「Show Me」⑧「Give It To You」を手がけている。特には出だしから「Hello It's Me」!!と叫びたくなるほど酷似している。リスペクトとして、敢えてなぞっているのだろう。これまた70年代アイズレーが楽しめる。

-そこにアンジェラはいない…-

プロデューサー陣がそれぞれの守備範囲でしっかり仕事を果たし、それに簡単に応えていくロナルドとアーニー。こんな風にいろんなヒトと絡んでいく今回の作品は、96年の傑作『Misson To Please』を思い出させてくれた。 無理なことはもちろん承知だが、ここにアンジェラの名前があったら…。これだけの作品で、文句のつけようが無いのだが、それだけが残念でならない。

(2006.07.10)

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