1. 『J.E. Heartbreak』
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『J.E. Heartbreak』(2000)2000
j_e_heartbreak

Review

-やっぱり、好きなんです-

この作品はソウル・トレイン・アウォードを受賞。そんな作品をこのアングラサイトでレヴューすることは極めて稀なこと(他のサイトでもたくさんのレビューがあるだろうし…そちらのほうが素晴らしいものだろうし…)。でも。素直にこのアルバム、好きなんです。やっぱり。

-チャートに従うしかなかった…-

そのなかで好きな曲を挙げていくと、③「He Can't Love U」⑦「Let's Get Married」⑩「Promise」…って全てR&Bチャートを制したシングル曲!こういったことも稀なのだが、先ほどと同様…、素直に良い曲だと思う。この3曲でジャギド・エッジ(Jagged Edge)のイメージが確定したのだが、それほどインパクトがあるスロウ群。ジャーメイン・デュプリ((Jermaine Dupri)のヒップホップよりではない面と、ブライアン・マイケル・コックス(Brian MIcheal Cox)のメロディー・センスが、絶妙に溶け合った好例である。

本人曰く、

「JDと僕はオレンジ・ジュースとスプライトを混ぜたオレンジ・スカッシュのようなもの。お互いのフレイヴァーを重視して、一番良いミックスの状態を作る」(『bmr』2001年9月号より)

ということらしい。特には音数が少なく、彼らのコーラスが堪能できる。詞の内容からしても、心に伝える必要があることから、シンプルな構成になっていることが素晴らしい。ちなみにブライアン・マイケル・コックスはこの成功により、大きく飛躍。すっかりプロデューサーの地位を確立している。ジャギド・エッジとの絆も深く、前出の『bmr』のインタビューでも「彼らとはファミリー」と答えていることから、今後もさらに良作を生み出してくれそうだ。

そのの周りを固めるスロウも魅力的。ギターが印象的な⑥「Healing」は詞の内容からしてもとの繋がりが見える。曲の雰囲気やタイトルからしても、との連動かと思ってしまう⑧「True Man」だが、こちらは結婚式には使えないものになっている(内容は女性に裏切られた男性を歌ったもの)。

-アップも重要-

アップではマーカス・ミラー(Marcus Miller)「Much Too Much」使いの⑨「Can I Get With You」が心地よい。このようなサンプリングは大好物!!スロウのジャギド・エッジと決め付けるのはもったいないと思わされてしまう。でも、ジャ・ルール(Ja Rule)が入ってくる⑤「Girl Is Mine」はあんまり・・・。デュプリのやりそうなトラックではあるのだが…。

-状況は変わらないが…-

2010年である現在。このような作品はなかなかリリースできない。ヴォーカル・グループ復権の狼煙をあげてくれるのは、彼らからだと思う。そう記してから4年以上たった2014年。状況は全く変わりなくR&Bには不遇の時代が続いている。なんとか現状が打破できれば…。筆者はまだ未聴だが、この作品の続編である『J.E.Heartbreak 2』がその狼煙をあげてくれることになればよいのだが…。切に願う。

(2010.07.25/2014.12.25)

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