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『Guesss』(1994)1994
Guesss-Guesss

Review

-勘違い-

このジャケットでGuesss(guess=推測)って言われたら、「ヒップホップやる2人組みだと思います。」と答えるのが自然。マッチョな2人にサングラスで見つめられるだけでそう思ってしまうのは偏見だろうか。その予想を見事に裏切るコーラスを聴かせてくれるデュオが唯一残したアルバムだ。

-クワイエットなあの人が-

なにも情報無しにこのアルバムを手にしてみると、まず気になるのはマイケル J. パウエル(Michael J.Powell)の名前ではないだろうか?アニタ・ベイカー(Anita Baker)レジーナ・ベル(Regina Belle)などを手がけたMr.クワイエットストームとも言える彼が、その力をアップデートした楽曲を提供している。

-聴きどころは多し!-

シングルにもなった①「Shu-B」は、出だしの語りと歌いだしの甘い声の踏み出しでほぼノックアウトされる、トロ甘ミディアム・スロウ。覚えやすい「シュ~ビッ!」と繰り返す覚えやすいサビも印象的で、これを1曲目にする意図が伝わってくる。

チョット優等生過ぎる③「Tell Me Where It Hurts」はマイケルの真骨頂。この曲が一番80年代の雰囲気を引きづっているのだが、決して古い仕上がりではなく、ボーイズⅡメン(Boyz Ⅱ Men)を意識した曲作りを感じる。一転アップの④「Give Me One More Chance」はニュージャックとヒップホップ・ソウルの間(どちらかというとニュージャックより)に位置するようなグルーヴ。多少フルさを感じるかもしれないが、今聴いてもカッコいい。デロン・アイアンズ(Deron"Cheezy"Irons)の低めの声と、ダリル・ジャーディン(Darryl"D.G."Gerdine)の甘い声の掛け合いもキキドコロだ。

そしてエンチャントメント(Enchantment)のカヴァー⑥「It's You That I Need」では、なんと本家よりエマニュエル・ジョンソン(Emanuel "E.J." Johnson)が参加!これはマイケルの人脈による功績だろうが、これを歌いこなすゲス(Guesss)の2人もやはり実力者と言えるだろう。

-縁の下の力持ち-

マイケル J. パウエルの提供曲をみてきたが、実はこのアルバムの核としてプロデュースしているのは、カーラス・クロッソン(Carlas "Ceci" Closson)なる人物。正直このアルバム以外ではほとんど出てこない人物のようだ。しかし、この人が大いに活躍をしている。あまり取り上げられないのでここで紹介したい。

彼のプロデュースは5曲。正直⑦「Wakdatpaddi」は要らないと思うが、②「My Reason (For Loving Someone Else)」⑨「Mystery Love Affair」⑪「He Say, She Say」の出来は素晴らしい。キース・スウェット(Keith Sweat)流儀を模倣したといえるのエロさ加減と言ったら!この時代でしか生まれなかった名スロウと言いたい。またでは2人の“歌の巧さ”が確認できる。リードのデロンの叫び具合、ダリルのコーラス・ワーク、これには彼らの力量を感じずにはいられない。ホントに19歳と20歳なのか!?そのようなことから、彼が一番ゲスのことを理解していたのではないかと思っている。

-予備も買っておくべき??-

2006年に再発されたこともあり、比較的手に入りやすい様子。先日、某古本チェーン店で\500-で見かけたときには思わず(予備として。ん?予備ってなに??)買おうかと…。次にその価格でお目にかかったら、誰かにあげる目的で、やっぱり購入しようと目論んでいる。

(2010.09.13)

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