1. 『Tender Love』
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『Tender Love』(1994)1994
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Review

-グループよりも…-

コーラス・グループが乱立していた90年代前半にデビューした4人組。グループよりも“ミキ・ブルー(Mikki Bleu)の参加”のほうが話題として大きく取り上げられた。結果、やはりミキの楽曲の出来が際立っている。3曲でその手腕を振るっている。

-ミキは天才-

まずは何といってもミディアム・スロウの⑨「Say You Love Me」だろう。80年代から活躍するミキらしい音が、94年というコーラス重視の背景にしっくり馴染むように配置。若干ニュージャックの香りも残しつつ…。この少しでも押したら崩れてしまいそうなバランスこそが、ミキの真骨頂だろう。

スロウな⑤「Tender Love」は、どちらかといえばレトロ・ヌーボー、クワイエット・ストーム。この世界観をタイムレスに持ち込んだ。デュエットにしても歌えそうな、タイトルどおりの“優しい”メロディだ。

もう1曲がグルーヴィーな⑦「Groove With You」。打ち込みの音が少し懐かしい気もするが、こういう跳ねたリズムの楽曲も提供してくれるのが嬉しい。タイトルを見ると、ミキのアイズレー(The Isley Brothers)趣味が丸出しであることに、つい笑ってしまった。

-気になる名前が…-

ミキ以外にも気になる名前が。それがトロイ・テイラー(Troy Talor)だ。シングルに選ばれた2曲、①「(Seek And You'll Find) The Right Kinda Baby」②「Old Becomes New」は彼が手がけている。は、そのままトニーズ(Tony Toni Toné)が歌ってもいいようなパーティ・チューンである。そうかと思えばは、歌謡曲と言ってしまいそうなベタベタなスロウ。このフリ幅が彼らの魅力なのだろう。④「Call And I'll Answer」も彼らの手によるものだが、ここにはカール・トーマス(Carl Thomas)の名前も確認できる。

また、チャド・エリオット(Chad Elliott)も参加。スロウの③「Can I Make It Up To You」とアップな⑪「Don't Let It Slip Away」を提供。これからデスチャなどへ楽曲を提供していく彼の初期の作品となる。ここでは、良くも悪くも、2曲ともニュージャックから抜け出ていないところに時代を感じてしまう。

-今はどうしているのだろう-

この作家陣の難しい楽曲に挑んだグルーヴ・U.(Groove U.)も、もちろん歌うという部分で期待に応えてくれた。スロウの⑥「Looking For Love (In All The Wrong Places)」では、グループとして楽曲の制作に携わっていたようだ。地元の雄H-タウン(H-Town)らとともに、もう一度ヒューストンを盛り上げてもらえるようなことがあれば嬉しいのだが…。

(2011.09.11)

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